旧版のホームページの
製作記録の再掲載です

 
   

★秋月のTVチューナユニット使用の PLLSG 

製作の動機

秋月のTVチューナユニット(¥700)を見ていた時、このユニットでSGもどきができるんじゃないかと思いました。この類の知識はまったくありませんが手探りでの思考錯誤と失敗の繰り返しの連続です、なんとか形にはなりました結果は不満だらけの駄作!です

発振周波数:90-815MHz
ステップ:50KHz
 
出力:-30dbm位(固定)
周波数表示:液晶 
安定度:秋月のTCXOのに依存 
コントロール:PIC16F84F
PLL IC:TD6382P(東芝CATV PLL IC)


 
 

実際に完成した写真

ケースの右のつまみは周波数可変ダイアルです。赤いボタンは可変ステップの切り替えです、50KHzづつ100メガも移動するのは大変な手の運動です、このボタンでステップが8メガ程度に高速化されます、このときLEDも点燈し高速モードである事が表示されます。

写真は実際に完成した物のです、ケースはRSコンポーネントより購入しました、上がSGで下の同じケースはデジタルスペアナ&トラジェネです、同時に使用を考慮して同じケースに組みデザインを合わせました(実はケースが安価だった)スペアナは青山さんのHPより購入可能です、但し主要パーツと回路図しか来ませんある程度のリキのある人向けのキットです。下の特性測定はこのスペアナのお世話になりっぱなしです、これが無ければおそらくこの製作は無理だったでしょう。(青山さんありがとうございました)

回路図   16F84ソフト 注釈がいっぱい入っています

(ソフトはバグを取りきっていません、あくまで参考に アセンブラは『PA』です)

 
   

動作の概要、手におえなかった事、

★ユニットの選定やアウトライン秋月のテレビチューナユニットは東芝のPLL IC で発振を制御しています、このICはPLLの制御のほかにVCOの回路を電子的に切り替える回路が4チャンネル内臓されています、VCOの切り替えは外部からのPLLデータと同じフォーマットのシリアルデータで行います、したがって制御データはPLLのデータのほかにチャンネル切り替えのデータも同時に送る必要があります。発振周波数の最小ステップは基準発振の水晶の周波数とPLL IC 内部の分周比で決まります、ユニットに内臓されている水晶はオマケ程度の精度しかありません(本来このユニットはテレビの受信用途ですので、これで十分なのです)、おもちゃ程度でも測定器とするにはちょっと不満です、 秋月のTCXO(12.8MHz)は安価で手にはいりますし安定度も申し分ありません、これを2分周して6.4メガの基準発振をつくりこれをPLLに供給します、発振出力はVCOの出力をエミッタフォロワで取り出しRFアンプ3段を経て出力とします、このPLLユニットは90から800メガまで連続には発振しません、テレビのチャンネルと同じ VHF_LOW  VHF_HI  UHF の3ツのVCOで切り替えています、本来このユニットはこんな広域な周波数はカバーしない製品です、したがってVCOの出力はかなりレベルの変動があります、このためピンダイオードの可変アッテネータを組み込み、フロントパネルからボリュームでレベルのアジャストがある程度可能としてありますが完全ではありません。 出力ベルは目標は-10dBmでしたが広帯域アンプの発振とVCOのバンドエッジのレベル変動が大きい為、断念しました、この部分の対策に多くの時間を浪費してしまいました。

★当初は

制御のPIC16F84のパワーに余裕があったのでピンダイオードのアッテネータを使いPICから周波数ごとのデータをD/A変換しこの電圧でアッテネータを可変して一定のレベルになるようにと思い、ソフトはおおむね組んだのですが、やめました理由はそれまで苦労するほど素性の良いVCOじゃ無いという理由です、可変幅100メガ前後のVCOはそんなに苦労しなくとも製作は可能ですし、DDSを利用すればもっと安易に精度を上げる事は出来ます 90-800という広帯域が魅力ではじめた製作ですから、あんまり苦労したくないという持ち前の貧乏根性です
PICというデバイスは根本的にはRAMという概念は存在しません、制御データを一時保管する領域もレジスタの上でしか出来ません、PLLの制御データはバイナリですが液晶で見る数字はデシマル表示です、この変換テーブルが多くの貴重なレジスタを消費しますが内部レジスタの使い捨てではソフトが成り立たないので再利用しています、この為のデバッグに結構長い時間を費やしました、まだ数カ所のバグは存在しますが、最初からのコーデングするリキがなくなってしまい、まあ イイヤ で終わりにしました

★使用したPLL ICについて
ユニットに使用しているPLL ICは4MHzの基準水晶が付属しています、内部分周が128ですので4MHz/128=31.25KHzが最小ステップですPLLのプログラムカウンタは5ビットのスワロ、10ビットのメインカウンタとなっていますのでスワロカウンタは32ステップとなります 31.25KHz X 32=1MHz、メインカウンタの値は即VCOのメガヘルツ単位の数値となる訳です(4メガの水晶を使い31.25kのステップとした大きな意義がここにあったのです)、今回は安定度を考慮して12.8メガを2分周して使っていますので基準発振は6.4メガとなります こいつの32分周が最小ステップですので6400/32=50 50KHzが最小可変幅となります、ハムが使うには31.25キロなんかより50キロステップの方が良いのでこれで決定しました、しかしこの事によりメインカウンタの値が即メガの数値ではなくなってしまいました VCOの切り替えにメインカウンタの数値を使おうと思っていましたがそれには大きな不具合が発生します、50K X 32=1.6メガ 周波数のアップとダウンで最大1.6メガのVCO切り替えのバックラッシュが存在する勘定になります 対策には全てのカウンタを見れば良いのですが15ビットもあります、逼迫しているPICの貴重なレジスタをさらに消費する事になります かなり考えましが((気にしない)という対策?で終わりにしました  (なわけでかなりいいかげんなソフトで動いています) バンドエッジの検出は行っていません、アップダウンをじゃんじゃんやるとどこまでも周波数は表示します、当たり前ですが表示だけです

★スプリアスは?、ピンダイオードアッテネータは

 UHFのVCOは比較的良好ですがVHFのVCOは多くのスプリアスの存在が確認できました、100メガの発振では200.300.400ときれい?に スペアナ上に波形が並びます(コーム発信みたいです)簡易的な物ですのである程度で妥協し、十分な性能と自己評価しました!! ピンダイオードを2本使って簡易的なアッテネータをつくり入れてあります、低い周波数のVCOレベルは想像以上に大きく発振帯域が広いので 各VCOのレベル差が極端にありますし、VCOの動作保証外の帯域で発振させる事によって周波数を連続させていますので電圧で可変出来る アッテネータの挿入は必須でした、広帯域アンプ3段でVCO出力をドライブしていますが3段アンプの中間にアッテネータを入れてあります この場所がスプリアスや自己発振等で一番良好でした、ピンダイオードのアッテネータ部分はチップ抵抗+チップインダクタで+立体配線で必要な性能を確保しています、高い周波数での減衰率の向上にかなり苦心しましたがなんとか使い物になるような結果にはなりました 300メガ台までは恐ろしく効果的で-60dB以上の減衰が可能です、144メガのフォックスの抵抗アッテネータとは比較にならない程の性能です 400メガを超えるとだらだらと性能が劣化してきますがこの周波数ではVCOの出力も下がってきますのでちょうど良い兼ね合いになっています

★PICのポートラッチのふらつき
 PICはポートは双方向ポートです、入力にも出力にもつかえますが内部では瞬時に切り替えている訳です10メガのクロックで動作している場合は 1ステップは0.4マイクロセカンド程度かと思いますがこのわずかなふらつきもPLLのICは見逃さないようです
 周波数の切り替えにわずかなチャピリが発生する事が確認できます、VCOのロックまでの立ち上がりとPLLデータのラッチタイミングをアナライズすればある程度の解析は可能と思いましたがナノセカンドオーダーが観測出来る程高価な測定器はありませんしタイミングパルスのデータのラッチの状況を観測するなんて安物シンクロじゃ手も足もでません、対策はなしで、原因も推測です

★たかがメーカ、されどメーカー
メーカ製の無線機のVCOは  優秀、かつパーフクトの一言につきます、今回の事前実験でヤエスのFT4600・FT8500.FT8000のVCOの受信可能な周波数で発振させて SSB受信機でゼロインしてふらつきを聞きましたがまったくパーフェクトでした これらのVCOを使えば簡単に出来そうですがこんなに広帯域には発振しませんのでそれは無理な話ですが、、、


やっぱりローカルのOMさんです
 製作にはローカルのOMのJAφBWU局のアドバイスをかなり頂きました、アナログ思考?のOMですので結構共通点が多く大変貴重なアドバイスでした、旧ハムジャーナルのスペアナ関連の記事や製作実験より多くの回路定数や参考資料を使ってありますので、実験される方は参考にしてください さらに広域で安定なVCOと思い手持ちのBSチューナのVCOを参考実験してみましたが発振純度が粗悪で使いモノにはなりませんでしたスイープするような用途には良いかと思います HPサーフィンでDDSでのSG記事を見つけましたが機会があったらトライしようと思っています、PICチップは手軽ですが動作が一般のチップと少し異なるので結構苦労しました、アトメルのAVRチップがZ80もどきの比較的理解しやすい素子(もともとZ80派なものですから)ですので現在ライタを作っています AVRは秋月のライターも持っていますがシリアル形式だと書き込みできる素子に制限がありますのでパラレルポート接続が有利のようです
 この手の発振装置はDDSに変わりつつありますのでアナログ要素の強いPLLは衰退にあるのがなんとも寂しい感がしますが、、


★★乱文 最後までお読み頂き感謝します 2000・6 JAφESA

注)2010・3現在、秋月電子ではこのTVチューナーユニットは売られていません (2010・3追加記載)